「台湾人女性は気が強い」は本当か?

STRONG 台湾の文化

台湾人女性は気が強いという話をよく聞きます。これは本当でしょうか?一言で答えるなら「日本人の物差しで測るとそう見える」というのが回答になります。どうしてこんな煮え切らない回答なんですかと思われたかもしれません。それは、台湾と日本の家族文化には根本的な違いがあり、それを理解しなければ台湾人がなぜそう行動するかわからないからです。

台湾では、日本の漫画やアニメが人気で、お米を食べることも多いです。他の国と比べ、日本と文化的に近いと言っていいと思いますが、家族文化に関しては驚くほど異なる点があります。

家族のリーダーとして育てられる台湾人女性

日本と大きく異なるのは、女性が家族のリーダーとして育てられることが多い点です。

台湾で最も多い民族は閩南人で、中国大陸から移住してきたとされています。中国では、日本と同じく男性が一家の長となるのが一般的ですが、台湾では閩南人家族であっても台湾原住民の影響を受けており、女性が一家の長となることもあります。

台湾原住民の家族文化

台湾原住民は、狩猟社会であり男性は狩りに、女性は家を守るという役割を担っていました。狩り=仕事とすれば、ここまでは日本の家族と似た役割ですよね。根本的に違うのは、女性の「家を守る」という役割の権限は非常に大きく、家や家族に関する権限は女性にあります。つまり、家族では女性がリーダー的存在なのです。

「旦那さんイケメンですね」がよく使われる台湾

ご夫妻に会った時、日本で使われる「奥さん美人ですね」というお世辞があります。台湾では逆に「旦那さんイケメンですね」がよく使われます。台湾では、ご夫妻とは言わずに、男性単独であったとしても男性に対して「イケメン」と言うのは社会的に許容されているようです。とある年配女性店主が、荷物を届けに来た業者のおにいさんを「師哥」(イケメンを意味する中国語)と呼んでいたのでビックリした記憶があります。

日本でよく使われる「奥さん美人ですね」は台湾で使わないのかと台湾人の妻に聞いたことがあります。答えは「性的な妄想をしていそうで、台湾では不適切」とのことでした。日本ではよくつかわれているお世辞が、なぜ台湾では不適切なのでしょうか?

答えは「旦那さんイケメンですね。」を日本で使った場合に感じる違和感から感覚的に理解できると思います。つまり、台湾でも日本でも容姿に関する俗っぽい話題は一家の長に対して行うのは不適切なんです。なぜなら、その長の威厳を失墜させることになるからです。あえてその不適切な話題を出すと「え?この人、変な妄想してるの?配偶者の前で口説いてるの?」という風に受け取られます。

産婦人科に付き添うパートナーはほぼ100%

私は妻に付き添って、日本と台湾の産婦人科にそれぞれ行ったことがありますが、男性のパートナーが付き添う割合いは日本と台湾で驚くほど違いました。

地域差はあるかもしれませんが、日本では男性のパートナーが付き添うのは1割にも未満でした。付き添っている男性を見つけると「理解のあるパートナーだ。エラいね」という評価になるでしょうか。

一方で、台湾では男性のパートナーが付き添うのが当たり前で、単独で産婦人科に来院している女性はあまり見かけません。パートナーと一緒に来ているのは少なく見積もっても全体の9割以上です。

考えてみれば当たり前の話で、出産は家族にとって最重要イベントの一つです。出産に伴って、女性は体調に変化が出てくるので、付き添って身の回りの世話をしてくれる人が欲しいものです。女性により権限があれば、男性パートナーに仕事を休んででも付き添いなさいと指示を出すのは、想像に難くありません。

家族間の話し合いでは女性が全面に立つことも

私は幸い経験したことがありませんが、家族間で揉め事などが発生した場合、2家族間で話し合うことになるでしょう。その話し合いがこじれた場合、日本では父親が登場すると「私たち一家は本気だ」という態度を暗に示すことができます。

台湾人の妻が言うには、台湾でこの役割を担うのが母親であることもあるそうです。これは家族によっても違うようですが、母親が話し合いの場に立つことにより、「私たち一家は本気だ」という態度を示しますす。

台湾人女性は良きリーダーであろうとしている

女性が台湾の社会でどんな立場か理解することで、台湾人女性がなぜ「気が強い」ように見えるかが理解できます。

彼女らは単に「良きリーダー」であろうとしているのです。良きリーダーとは何でしょうか?家族みんなが安心して従えるように、以下のような特徴をもつ人です。

  • 大局的に物事をとらえ、より良い方向を示す人。
  • みんながわかるようにハッキリものをいう人。
  • 自分の決断に自信を持っていること。

上記のような特徴が良きリーダーであり、同時に台湾の社会が女性に求めることなのであり、かつ台湾人女性が目指している女性像でもあります。

良き夫は、良きフォロワーであること

台湾で良き夫とは、リーダーである妻にうまく従える人、つまり良きフォロワーである人です。良きフォロワーとはどんな人でしょうか?

  • リーダーに従ってくれる人
  • リーダーの方針に従って、細かい事をやってくれる人
  • リーダーの威厳を傷つけない人

台湾人男性とお付き合いをしたことのある日本人女性の感想としてよくあるのが「まるでお姫様のように扱ってくれた」というものがあります。実はこれ、台湾の文化に従って女性かつ権力のある人として扱っているため、結果としてそのように感じる訳です。

実は優しい台湾人女性

日本の物差しで測ると「気が強い」と見えてしまう台湾人女性ですが、台湾の社会で期待される良きリーダーとして行動しているだけなのです。良きリーダーであるため、良きフォロワー、つまり自分に従ってくれる人やフォローしてくれる人は大好きで、優しくしてくれます。

逆に、自分の意見に反旗を翻す人や、対立する人には容赦ありません。

日本人男性と台湾人女性は相性が最悪なのか?

ネット上で、日本人男性と台湾人女性は相性が最悪という意見をよく見かけます。台湾でも「日本人と結婚したけど最終的に離婚してしまった」という話はよくあるそうです。

ここまでこの記事を読んでいただいた方は原因がピンと来ているかもしれません。家族の文化が正反対であることが主な要因でしょう。家族になる前は、日本と台湾の共通項を発見したりして、お互いに親しみを感じることでしょう。ところが、結婚して家族になると家族文化が正反対であるにも関わらず「日本と台湾は文化的に似ている」という思い込みも手伝って、相手の善意をうまく理解できないといことが起こります。

特に日本人男性と台湾人女性は、どちらも家族の中でリーダーとしての役割を果たそうとするため、お互いに「なぜ自分に従ってくれないの?」と不満を募らせてしまうのです。逆に言えば、どちらかがこの家族文化の違いに気づき、良きフォロワーとなることが、日本人男性と台湾人女性がうまくやっていくためのキーポイントとなります。

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